統合失調症患者の徒然日誌

毒にも薬にもならぬ文字を書き捨てる。

切り札を切った結果〜戦う意思を取り戻す物語〜

ぱっと目が覚める。

豆電球で照らされた室内に時計の音が静かに鳴り響く。

時間はちょうど朝四時。

今日はいつもより体が動かせる。
入院のための診察が控えているためか、体が臨戦態勢で気合いによって動こうとしているのだ。

まだ体は少し軋むように硬いが動く。
ーーー行ける。

そのままベッドに腰掛け、出発時間を待つ。

時計が八時半を回る頃、僕は家を出た。
空は曇っているが、それと相反するように気持ちは晴れやかである。
やっと入院で身体を休められる。そんな開放感が身体を軽くしていた。

前回と違い、足取りは幾分軽い。

病院に着き、受付を済ませ、しばらく待っていると名前が呼ばれた。

診察室に入ると、主治医が「おはようございます。」と挨拶をして来たのでそれに返事をする。

「入院したいとの事ですが。」

「はい、気持ちと身体を休めたくて。」

「うーん、でもかなり自由を制限されるよ?社会とも隔絶される。それがストレスにならないか心配だなぁ。それに希望は5日〜6日間って聞いたけれど、流石に土日挟むからそれは厳しいかな。」

「そうですか…。」

「最低でも二週間、長くて1ヶ月の入院かな、今の雰囲気だと。」

「10日には外泊でライブに出たいんですが。」

「うーん、それも厳しいかな。あなたの状態を見た入院病棟の看護師達の判断もあるし、初めての入院でしょ?それにこの病院にかかって間もないわけで、私たち医療サイドもまだあなたのことをよく知らない。そんな状況で、そう簡単に入院してすぐに外泊は取らせられないよ。」

「なるほど。」

「とりあえず抗うつ剤を倍に増やして、10日のライブまで様子を見て、11日に入院するかどうか決めたら?」

「それで良いのならそうします。」

「うん、とりあえず方向性はそうしよう。また何かあったら診察日に来て下さい。」

「分かりました。」

「ところで楽器は何弾くの?」

「ベースてす。」

「へぇ、そう言う趣味もあるんだねぇ。趣味が多いのはいいことですよ。」

「ありがとうございます。」

「それではお薬出すので待合で会計をお待ちください。」

「はい、ありがとうございます。では、失礼いたしました。」

と言うわけで入院するかどうかは11日に決めることになりました。

が、そう考えると、それまでに自己流の行動療法で治せば入院も回避できるのか、と言う考えに行き着いた。
そうなった瞬間、俄然このうつ状態を打破するための気力がどこからか湧いてくるのだった。

今までなんども壁を乗り越えて来た。

今回もいける。

根拠はないが、そんな自身が溢れてくる。
戦い尽くしてやる。そして鬱に打ち勝ってやる。
今はそんな気力がどんどん湧いてくる。

いける。
俺はまだやれるぞ。

回復させて、生き抜いてやる。