統合失調症患者の徒然日誌

毒にも薬にもならぬ文字を書き捨てる。

あの人のことを思い出す時、たまに泣きそうになる。
でも僕には泣く権利はない、義務もない。
もちろん思い出し笑いなんてこともできない。
ただタバコの煙を眺めて、じっと身構えることしかできないのだ。

最後の会話を思い出す。

「あなたは、生き抜くことも。少し文章の才能もあります。私はそのことを尊敬している。でもそれが怖いんです。」

「生き残ることにいつもひたむき。命を削って文章を書く自分のことが正しいと思っている。」

「そんな自分のことに夢中で、いつも周りは視界に入っていない。」

「あなたには、本当は人の気持ちを考える余裕なんてないのよ。それで当然のように人を傷つけてしまうんでしょ。」

「あなたが生き延びられて、文章を書けば書くほど、あなたは人を傷つけ続ける。そして、きっと死ぬまで一人ぼっち。」

「だってあなたは、政宗さんは、周りがどんどん死んでるのに、生き残って書き続けている自分が世界で一番偉いと思っているから。」

まるで自分の将来を予知されているようだった。

こんな会話を交わした数日後に、喧嘩別れをした。

数週間後に起きた、彼女の自死の直接的なきっかけは分からない。
ただ、遺書には僕に宛てた一節があり、その部分は知人から聞いて書き残しておいた。

政宗さんへ。
私は死ぬことしか考えられない自分自身が、どうしようもなく憎かった。
貴方はそんな私のこれまでの生き方を責めるわけでもなく、止めようとするでもなく、ただ話を聞いてくれて、どこまでも受け入れてくれた。貴方はひたすら優しかった。
もし貴方が他の人と同じように、死にたい私を責めてくれていたなら。
あの時泣きながら頼んだ『そんなに私を止めたいなら殺してよ。』という願いに応じてくれていたら。
こんな形の結末は迎えなかったかもしれない。
私はただ、貴方に怒られたかった。
でも貴方はどこまでも優しくて、正しかった。
こんな形のお別れになったけど、これだけは言い残しておくね。
政宗さんは、私にとって最高の友達でした。
これからも、忘れないでいてくれたら嬉しいな。」

彼女はよく「万が一、確実に死ぬ方法でも生き残ったらって思うんだ。それだけで奇跡的だし、今後も頑張って生きようかなって思えるかもしれない。」と言っていた。

もしかしたらそんな願掛けで、未遂に終わると思った結果、自死になってしまったのではないかなと思う。

あくまでも希望的観測だけれど。

どちらにせよ、僕はもう永遠に彼女に会うことはない。
そして今後彼女のことを好きになることはないと思う。
だってもう死んじゃってるから、好きになりようがない。
思い出は死んだら絶えるのだ。そういうもんだ。
彼女のかけた「あなたは死ぬまでひとりぼっち。」という呪いも、もう解けそうになっている。
これからも僕は生きていくのだ。
死んだ人間にかまう暇などない。

 

公開するか悩んだけれど、書いた以上は公開しないと文章の供養にならない。

おわり。